2009 新同窓会パビリオン設計競技 photos text

ある大学に新設される平屋建て同窓会パビリオンの設計協議提出案。
建設予定地には2棟の既存同窓会施設があり、西側道路境界線際の南北に細長い場所が敷地として与えられた。ここでは建設予定地の南北軸に対し、ほぼ目一杯にショーウインドー(額縁)が連なるパビリオンを提案した。要求された資料室を単に収蔵を目的とした機能にするのではなく、収蔵品を見せる展示物として扱い、卒業生の功績や業績等が内部から、且つ、外部からもショーウインドー(額縁)を通して鑑賞可能なパビリオンとして計画することで、既存施設を絡め人の流れを促し、既存の建物を含めた敷地全体の一体利用を誘発するパビリオンを考えた。
建築物を分割し敷地の形状を勘案し雁行させる事で、同一の面積で得られる壁面長さよりも、展示に必要となる壁面を極力確保する事に配慮した。その結果、5 つに分割されたブロックには重ね幅の違いなどによって内部には多様な場所が発生し、要求された事務室、展示室、打合せスペースなどを振り分け、また、同時に発生した外部にも屋外彫刻が置かれた広場を計画した。その日当たりの良い広場では、屋外彫刻も、パビリオンのショーウインドー(額縁)を通して、鑑賞可能とする事で、屋外空間も一連の展示スペースの1つとして位置づけている。 また、東西面を妻面とし、高さ方向を妻面の勾配に合わせ、ショーウインドーの高さを確保する事で、様々な展示物に対応したバラエティーとリズム感のある壁面計画としている。同時に、敷地が住宅地と大学の両者に隣接することから、また、条例により勾配屋根を設ける規定があるため、住宅地に対し威圧感を軽減するよう家型の連続とし、まずは、住宅地に紛れ込み、また、外壁の色を一連の大学施設の外壁に合わせた茶系統にまとめることで、大学施設にも紛れ込んだかのような建物を考えた。

 

共同設計 :上田篤(un voice一級建築士事務所)