2006 pino photos text

郊外に建つセカンドハウス兼ギャラリーの計画。計画地周辺は田畑と住宅が入り混じった都市部郊外の典型的な景色が広がる。「Pino」の敷地は以前からの住宅街に、新しく袋小路状にミニ開発をした入り口にある。近くの本宅から、気ままに使えるセカンドハウスとしての機能、絵画や陶芸作品を飾るギャラリーとしての機能と、家庭菜園が可能な庭が要求された。比較的日照の良い南東側に菜園を配置し、それを中心にすえて、庭を含めた敷地全体を偏平した田の字型プランとして計画をしている。庭を外部でありながら内部空間として等価に扱う事で、小さな計画ではあるが視覚的な拡がりと庭を介しての段階的な街との繋がりを試みている。庭に接する外壁を内部と同じ「白」とする事で内部からはすべて白い壁が目に映り、外部であるはずの庭も室内空間としての拡がりが感じられように計画した。 また、前面道路から一定の距離がある庭に対して比較的小さな「掃き出し窓」を配置させる事で、プライバシーの確保と日照の調整を試みた。この窓からは、椅座位は庭を通り越して三叉路までの視覚の繋がりが得られる計画としている。計画中、庭を中心にすえる事で、新築かつ新たな開発地であるにも関わらず、まるで都市の中の町屋が壊され、隣地の町屋の剥き出しになった妻面、その部分だけを改築しているかのような、そんな錯覚があった。

 
 
 

共同設計 :上田篤(un voice一級建築士事務所)
写真© 阿野太一