2011 その街にある教会 photos text ( JP|EN )

松本の郊外、田畑に囲まれた小さな街にある教会。敷地は、新しく造成された宅地にある。
「教会」らしい厳粛さや象徴性から建築を組み立てるのではなく、切実な断熱性や遮音性、住環境、礼拝室の使用法などの形而下の問題を街中の平易な要素を援用し、教会との接点を見つけだしながら、解決し浮び上がらせる事で、形而上の祈りの空間に転換することが可能であるかを考えた。
会堂を中心として展開する、とりどりの条件により導き出された素材や色、移動と共に現れる正面性、どこからともなく差し込む光、くぼみを持った壁面などが、そのシーン毎に意味を保持しつつも、総体から見れば鮮明な在り方ではなく、「様子の存在」、或いは、「教会の点景」へと変換される。更には、教会が「街の点景」へ回収されるような、そんな鷹揚なあり方を目指している。
その土地や風景を肯定し、教会での営みを掬い上げることで、この街の日常にしっくりとなじみながら、それでいて教会としての佇まいが滲み出るような、そんな建築の姿を模索した。

 
 

共同設計 :上田篤(un voice一級建築士事務所)
      川勝真一(RAD
構造:門藤 芳樹(門藤芳樹構造設計事務所)
施工:筑北木材建設株式会社
カーテン制作:森山茜
スピーカー制作:鶴林万平(soni house)
写真撮影:鈴木崇(3,5.6,11-17,19,21-23)
     坂井哲平(1,2.4,20)